Pocket

先日の日経新聞に、遺産分割協議について相続開始から10年の期限を設けるとの
民法改正をめざす内容について書かれていました。

 

今や大きな社会問題となっている空き家問題を減少させたい意向のようです。

 

10月1日に開く法務省の研究会で制度案を示し、2019年2月をめどに報告書をまとめ
法制審議会に諮り、2020年の通常国会で民法改正案を提出するとのこと。

 

空き家問題の根底にあるのは分割協議がスムーズに成立しないという現実もあります。

 

現時点においては、遺産分割協議を「いついつまでにまとめてください」というような期限は決まっていません。

 

相続税の納税義務がある場合には、少しこじれたとしても、相続税の優遇規定を受けることが出来る期限を目標に、なんとか分割協議をまとめにかかるケースも見られます。
(一定の相続税の優遇を受けるためには、一定の期間内に分割協議を整える必要あり。)

が、協議が難航して収束がつかない場合も当然ありますし、

 

そもそも、相続税の申告義務がない場合などは、
相続人が集まって協議をしなかったり、いつまでも話合いがまとまらなかったりするケースもあります。

 

市役所などで開催される相続税無料相談のお仕事などをさせていただきますと、
相続税の申告義務は無さそうですが、宅地の分割について揉めておられたり、
調停にもつれ込んだりの、深刻そうなケースがいくつかありました。

 

財産はそんなに多くなく、土地一筆のみ・・みたいなケースの方が、揉めてる率が高いようにも感じられました。

(相続税が絡まない場合、そもそも税理士の出番はないので、お話しだけ伺い
弁護士などへご相談されるようお伝えさせていただいてますが。)

 

このようなことが、
全国各地に点在している空き家問題の大きな要因の一つになっています。

 

 

例えば、持ち家に住んでいた甲さんが亡くなり、相続人は子であるAとBの兄弟2人のみだったとします。

 

AとBが仲の良い兄弟の場合は、分割協議もスムーズにすすむでしょう。
亡父甲が住んでいた持ち家は長期間、空き家になることもなく、
売却なり、人に貸すなり、なんらかの処分が出来るはずです。

 

しかし、AとBがあまり仲が良くない場合は、スムーズに分割協議が進まないこともあります。

 

自分の方が父の老後の面倒をたくさんみたから、たくさん貰うべきだ!と主張したり、
なんだかんだとゴネたり、そもそも話合いの場すら持とうとせず無視をしたり、です。

 

お金が絡む話であり、また親族間であるからこそ、感情的な部分も抑えきれず発言し、
それが深い溝となり、こじれてしまうことも多いのではないでしょうか。

 

「相続」が「争族」になってしまうケースです。

 

相続税無料相談のお仕事で対応させていただいた、争族の渦中におられる方々の
ほとんどが大きなストレスを抱えておられました。

 

現行法の問題点

土地や家屋などの不動産は、相続人全員が同意した分割協議書がないと
最終的に売ったり、人に貸したりすることはできないのが現状です。

 

その結果、空き家として放置されることとなります。(誰も住まない場合。)

 

そのまま月日が流れ、
そのうち、相続人の誰かが死亡してしまうと、権利がその相続人の相続人に移行するかたちとなり、権利関係がより複雑化します。

 

上記の例でいいますと、AとBの分割協議がまとまらないうちに、Aが亡くなってしまった場合、Aの相続人である配偶者や子どもに相続権が移転することになります。

 

分割協議がまとまらず、長期化することで、相続人の数が更に膨れあがり、
分割協議をまとめることがますます困難になってしまうことが、
空き家問題の大きな要因になっていると言えるでしょう。

 

スムーズにいかない分割協議に期限を加えることで問題解決を図る

今回の法改正の検討では、まとまらない又は放置されている
分割協議に10年という期限を加えることにより、
話合いで早期に決めるよう促し、相続が円滑にいくことを目指しているようです。

 

まだ具体的な詳細については分かりかねますが、
新聞に載っていた内容のみに限定してお話ししますと、

 

もし、10年経っても話合いで合意ができず、また家庭裁判所への調停や審判がなされないままの場合は、法律に従って国が自動的に持分を決めるとのこと。

 

持分の目安は、遺言書がある場合は遺言書の内容が優先され、
無い場合は法定相続分となる可能性が高いようです。
(それぞれの事例によるかと思いますが。)

 

上記の例ですと、相続人は子のAとBの2人だけですので、
A 1/2、 B 1/2、 ということになります。

 

また、持分が決まりますと、その土地や建物は相続人の共有財産となりますが、
このような土地建物を第三者が買ったり借りたりしやすいような仕組み作りの取り決めもされるようです。

 

本来、共有財産は、全員の同意が無いと売ることはできません。

 

自分の持分のみを売ることは可能ですが、なかなか買い手がつかないのが現状です。
(持分だけ買っても、買い手は使いようがないため。)

 

国の方で強制的に分割してくれても、簡単に処分ができないのであれば、
根本的な空き家問題の解決には繫がりませんので、
処分しやすい仕組み作りは必ず必要だと思います。

 

空き家問題の解決の糸口に

空き家のまま放置することは誰にも良いことは一つもありません。
(思い出の詰まった家を残せるメリットはあるかもしれませんが。)

 

庭の草木が生い茂ってくると隣近所の迷惑になりますし、
家屋が老朽化して台風で屋根瓦が飛んだり、地震で倒壊する恐れも出てきます。

 

修繕等の維持管理費や固定資産税などのコストもかかります。

 

なるべく早期に処分するにこしたことはないですね。

 

このように考えると、検討されている期限10年というのはなかなか長いのでは!?
と少し思うところではあります。

 

その間に2次相続が起こってしまう可能性もなきにしもあらずかなと。

 

空き家問題の解決を迅速に進めるためにも、
もう少し期間が短くても良いのでは?というのが個人的な見解です。

 

☆★☆ 編集後記 ☆★☆
週末は雨や台風の影響が怖くて車を別の駐車場に移動。
普段、家の駐車場は青空駐車場(屋外駐車場)ですが、
土曜日からコインパーキングの地下駐車場に停めています。
お金はかかりますが、ヒヤヒヤしなくて済むので。。

 

☆★☆ Run Diary ☆★☆
2018年9月28日(金)・・5.77km
2018年9月29日(金)、30日(土)・・雨や台風でお休み

今年は雨や台風が多いですね。
天候が良いときはできるだけ頑張らなきゃです。