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先日、税理士会の3日間に渡る成年後見制度の研修を受講しました。

 

成年後見制度とは、ざっくり言いますと、認知症等で判断能力や財産の管理能力に衰えのある人がいる場合、その人に代わって別の人がその人の財産を管理したり、必要な福祉サービスを受けるべく手続をおこなったりすることを制度化したもので、判断能力等が衰えた状態であっても、「その人らしい」生き方ができるような支援を目的とした制度です。

 

認知症を発症したり、障害を負ったときに、行政から受ける介護や福祉サービスは、「契約」により受けるサービスとなりますので、自分でそれが出来ないときは、誰かに代行してもらわないといけません。そのような時に、成年後見制度を利用して、手続を行って貰うことになります。

 

かなり重い内容だと思いますし、「生半可な気持で出来ることではない。」ことは3日間の研修を通じてかんじたことでした。

 

ただ、年を取って、認知症になり、判断能力が衰えて、自身で財産を管理したり、必要な手続を行ったりが出来なくなる、ということは他人事ではなく、いずれ誰もが通る道ではないでしょうか。

 

現代は高齢化社会が加速しており、近年ではニュースなどで孤独死の増加等も目にするようになりました。

おひとり様も増加していますし、子どものいない夫婦の場合も、どちらかが先に亡くなればいずれおひとり様になります。また、子どものいる夫婦であっても、子どもが近くにいて世話をしてくれるとはかぎりませんし、子どもが自分よりも長生きする保証もありません。

 

昨年に亡くなった私の祖母も、子ども(わたしの父)の住む「大阪においでよ。」と声をかけても、住み慣れた土地や家を離れることを嫌がりました。
その結果、1千万円以上ものお金を悪徳業者にだまし取られてしまいました。
(まだ認知症を発症してはいませんでしたが、祖母はとてもお人好しな人でした。)
わたしたち家族が、それぞれの生活で忙しく、制度の利用もせず、また、十分に目をかけてあげることができなかったことが悔やまれました。

 

そのようなことが実際に起ってしまう世の中で、今後年を重ねるにつれ漠然とした不安を抱えてる人は多いのではないかと思います。

 

「とりあえず、お金を貯めておけば大丈夫」と思って貯金を頑張ったとしても、いざ老後になり、認知症を発症し、そのお金の管理が出来なくなれば、意味がありません。

 

今後、このような不安や悩みを聞く機会は益々増えていくでしょうし、税理士として、というよりかは、1人の人間として、このような問題から目をそらさず向き合っていけたらと考えています。

 

これらの問題の解決策として「成年後見制度が解決してくれる。」とは断言はできませんし、この制度自体、色々と融通が効かない部分があったり、後見人等による横領の問題、手続が面倒、専門家を介するとコストがかかるなどの理由で普及率が伸び悩んでいます。

 

ただ、これらの問題を考えたときに、すぐにベストな方法を見つけ出すことは現状の法制度のもとでは難しいとしても、ベターな方法を研究ことは可能ではないでしょうか。

 

研究の一環として、まずは成年後見制度の研修を受講しました。

 

この制度自体は重みのある内容で、3日間(計18時間)を経ても、まだまだ足りないのではないかと思います。
なので詳細な内容はこのブログでは書きません。

 

受講を通じてかんじたことは、この仕事は重い内容だけど、必要としている人は多いということです。
しかし、もし仮に、わたしが成年後見人に選任されて、お仕事をさせていただくとしても、実際にお役に立てるのは、2人位が限度かもしれません。

 

不安な気持を抱えてる人や困っているお年寄りに少しでも多く寄り添い、安心してもらう、将来を悲観することのないようにするにはどうしたらいいのかなと考えます。
税理士とは全く関係ないですが、法人を作ったらどうかとかも研修中にふと思いました。

 

ちなみに、成年後見制度は、個人だけが行うのではなく、法人後見も可能です。
社会福祉法人やNPO法人などが成年後見人等になって判断能力が十分でない人の保護・支援を行っています。

 

個人だと、本人よりも先に亡くなってしまうことも無きにしもあらずですが、永続性を前提にしている法人だとなんとなく安心感がありますよね。

 

印象的だった意志決定支援

言葉で表すのは簡単ですが、これは非常に重い、簡単ではない内容だと思います。

 

認知症等で意志が伝わりにくくても、必ず個人の意志は存在するので、支援する側の判断のみで支援を進めるのではなくて、本人の意志決定を待ち、見守り、主体性を育てる支援こそ重要との考え方です。

 

本人におかまいなく、支援者が勝手に事務的に手続の代行だけやってればいいワケではない、ということです。

 

「どーせ、聞いても分らないやろう」と初めから決めつけるのではなくて、「本人はどう思ってるのかな?」と意志を尊重する気持を持つことは、例え結果が同じだったとしても、その支援には大きな差が生まれるでしょう。

 

ただ、それは口で言うほど簡単なことではない。

 

子育てすら、自分の子どものことなのに、思い通りに行かなかったり、スムーズにいかないとイライラしてしまうのが人間だからです。

 

でも、心を持って接することはやっぱり1番大事なことですよね。

 

また、法人の場合は、社会貢献に大きな理念を抱いた、法人が活躍して欲しいと思います。

 

まだまだ問題が山積みの世の中ですが、社会全体が思いやりの心を持ち、みんなが安心して暮らせる世の中に進んでほしいと改めて思いました。

 

☆★☆ 編集後記 ☆★☆
大型の台風が近づいてきてますので、
訪問や内勤の合間に、食料をたくさん買いだめしておきました!
とりあえず、明後日のお昼くらいまでは大丈夫です☆