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「営業車を購入したいですが、リースの方がリース料を全額経費にできるので、節税になるのでしょうか?」
というご質問をいただきました。

(注)なお、今回の記事でのリースとは、オペレーティングリース(レンタル料を支払って車を借りること)を前提として記載しております。

 

営業車はリースした方が節税に?

リースの方が節税になるのでは?と思われた理由に、おそらく、

 

車を買取りした場合は、車両運搬具として資産計上をしなくてはならないけど、リースの場合だと、支払ったリース料が全額経費になるから節税になりますよね?

 

という思いがおありなのでしょう。

 

また、カーリース会社のサイトなどを見てみると、
「リースは節税になります!」と謳っている会社も確かに存在しています。

 

しかし、そんなこと(リースが節税で有利だということ)はないです。

 

なぜなら、経費という側面で見れば、買取りの場合でも減価償却費というかたちで費用計上できるからです。

 

300万円の車をリース又は買取りで取得する場合で考えてみましょう。
(リースの場合の金利や諸費用、予定残存価格はここではムシします。)

 

<5年リースの場合の年間リース料>
3,000,000円×12ヶ月/60ヶ月 = 600,000円

 

<買取りの場合;耐用年数6年の場合>
(定額法にて償却)
3,000,000円 ×0.167 = 501,000円

(定率法にて償却)
3,000,000円 ×0.333 = 999,000円

 

買取りの場合の、定率法で減価償却を行う場合が、999,000円の減価償却費を損金算入することができ、
取得年については、1番節税効果がありますね。

定額法での償却にしても、このケースですと年10万円程度しか変わらないですし、
6年間のトータルでみたら同じとなります。

なお、定率法は、事業供用年度に1番沢山の減価償却費を計上をし、
翌事業年度からは段階的に減価償却費が少なくなっていく償却方法です。

定額法は、毎期、一定額の減価償却費を計上します。

(注)法人の場合の車両は定率法が法定償却方法となり、
個人事業主の場合は定額法が法定償却方法とまります。
別の償却方法を採用したい場合には、償却方法の選定届を税務署に提出しなければなりません。

 

カーリースが所得を減らす効果で節税になる、とはいえませんね。

 

資金繰面では、リースが有利?

車はなかなか高額な買物となります。

お金が有り余るほどあれば話は別ですが、

小さな会社で、現金購入の場合だと、お金がいっきに減るかんじがするかもしれません。

キャッシュは1度にドバッと減るけれど、車は資産計上され1度に経費にはならないから、
お金がたくさん減った年度の税金が安くなるわけではない・・

その点、カーリースなら、最初から最後まで一定額のリース料を払っていくので、
1度にお金がたくさん減る、なんてことはありません。

資金繰りの面からいうと1度にお金がたくさん減らないカーリ-スの方がよいかもしれません。

しかし、

買取りの場合であっても、銀行でローンを組んで購入する場合は、

銀行から借りたお金が入ってくるので、会社のお金が急に少なくなるのを防ぐことができます。

そうなると、資金繰りの面からも、カーリースのメリットはさほどない、ということとなります。

ただ、銀行のローンの審査が通らない場合は、リースという選択も出てくるかもしれませんが。

 

消費税の違いについて

消費税の課税事業者の場合で、原則課税にて消費税の申告書を作成している場合は、

買取り(現金一括でもローンでも)の場合は、

車を買う時にかかる消費税が全額、仕入税額控除の対象となります。

つまり、税抜き価格300万円の車の場合は、それに対応する消費税24万円について、
仕入税額控除をすることができます。(消費税の納税を減らす効果アリ)
買った年度のみの効果ではありますが。

 

リースの場合は、リース料に対応する消費税が仕入税額控除の対象となります。

税抜き価格 年額60万円のリース料の場合は、
それに対応する消費税48,000円について税額控除をすることができます。
(消費税の納税を減らす効果)
金額は小さいですが、リース期間中つづく効果にはなります。

まぁでもこれも、買取りであっても、リースであっても、トータルでみたら同じです。

 

まとめ

買取りであっても、リースであっても、節税面では大きな違いはないことになります。

なので、税金面のみに着目してどちらにするかを決めることではないでしょう。

「節税」という狭い視点にとらわれるのではなく、

トータルでお金がどれくらいかかるのかを現金一括、ローン買取り、リースの場合で見積もってみましょう。

車の本体価格のみならず、自動車保険や自動車税、車検代、定期メンテナンス代など全ての項目で見積もってみるのです。

おそらく、トータルのお金の面で見れば、金利がない分、現金一括が1番有利なのではないかと思います。

ただ、上述しましたように、会社からいっきにお金が減る、とうリスクもありますから、

資金繰表などに反映させて、慎重に決めたほうがよいですね。

 

☆★☆ 編集後記 ☆★☆
午後に府税事務所から電話が。
「先生の関与先様で・・」と始まる役所からの電話は、
一瞬「なになに?」って憂鬱な気持になるものですね。。
(たいしたことではなく、ほっとしましたが。)