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わたしは、平成25年に税理士試験合格、
平成26年に税理士登録、
平成29年に独立をしました。

 

税理士登録をしてから、約3年のタイムラグがありましたが、
すぐに独立開業に踏み切れなかった主な理由は、
「もう少し経験を積みたい」ということでした。

税理士試験に合格するまでにも数年間、一職員として経験を積んできてはいましたが、
勤務税理士としてももう少し経験を積みたいと思ったのです。

 

全てを経験してから独立することは不可能

わたしと同じように「もう少し勤務で経験を積んでから独立」と考えて
なかなか独立に踏み切れない方は多いと思います。

 

しかし、税理士業務は奥が深く、税務、経営全般、多岐に渡るので、
『全てを経験しつくす』ということは難しいのではないでしょうか。

 

大切なのは、経験したことのない新しいことにぶつかったとしても、
解決、対応できる力を身に付けておくことです。

 

少し時間をいただくかもしれませんが、
いろいろと調べて、一定の期間内や期限内に適正な処理を行ったり、
事柄に着手し、解決できれば良いと思います。

 

もちろん、自分の状況等でお仕事を承るのが難しいと判断したときは、
ご相談のうえ、受任をお断りすることもできると思います。

 

「どんなことでも、全てに対応しなくてはならない」
と自身を追い込む必要はないでしょう。

 

勤務は自分の望まない経験が増える可能性がある

勤務時代は、自分で仕事を選べません。

 

事務所によっては、希望が通るところもあるかもしれませんが、
わたしが務めていた事務所はそうではありませんでした。

 

1度、担当先の中に社会福祉法人が割り当てられたことがありました。

 

社会福祉法人は会計も税務も普通法人とは違った独特な処理があります。

なんとなく気が乗らず、前任税理士からの引継ぎの最中に、
「社福、あんまりやりたくないかも。。」と言ってみたことがありました。

 

前任税理士は呆れたように、
「そんなこと(わがまま)ばかり言ってたら、開業したとき、仕事無いで?」と。

わたし「そうなん?」

前任「開業したら食べていかなあかんし、そんなこと言ってられない。」

前任「どんなことも対応しないと。」

わたし「そっか。じゃあ、そんなこと言ったらダメだね。」

わたし「が、がんばります。。。」

 

このときは「開業したらどんな仕事でも引き受ける必要がある」ということに
納得したのですが、
今はそんなふうには思わなくなりました。

 

開業をしてから、社会福祉法人からのお仕事のご依頼はありませんが、
もしお話しをいただいても、承らないと思います。

社会福祉法人の場合は計算書類が独特で、
わたしが現在主に使っているMFクラウドやFreeeでは簡単に対応ができかねるため、
新たに別の会計システムを導入する必要も出てくるからです。

ある程度の件数をこなさないと採算が取れず、ひとり事務所では厳しいと考えます。

 

このように、勤務時代に頑張った経験は開業後に生かされない可能性もあるということをお分かりいただけましたら。

 

ただ、独立開業後の事務所の方針が、

 

とりあえず件数を増やして拡大したい

広いオフィスの賃料や従業員の給与を支払う為に、どんな仕事でも引き受ける

どんな仕事もいつでもどこでも24時間対応、を謳っている

 

などの場合は話が違ってくるかも知れませんが。

 

お金の問題さえクリアできれば

独立開業の決断を阻むものとして、経験値のほか、お金の問題は無視できません。

 

独立開業後は、勤務時代の毎月の給与、夏冬にいただけた賞与はなくなります。

 

それが無くなった状態でやっていけるかどうかを慎重に検討しなくてはなりません。

 

独立したが、資金が底をつき、やむなく勤務に戻る、ということもあるからです。

 

家族の扶養に入っている、
貯金が有り余るほどある
不動産など不労の所得を生み出す資産がある
前職の事務所から顧問先を多く引き継げた

 

などの場合はお金の問題はさほど慎重になる必要もないかもしれませんが、
そうでない場合は、少し慎重に検討する必要があります。

 

開業後1年くらいのキャッシュフローを把握するために
資金繰表を作成し、シミュレーションしてみて、
実際のお金の流れを目で確認してみましょう。

 

資金繰り表に加味するのは、事業上の支出だけでなく、生活費全般も含めます。

家賃or住宅ローン、高熱費、食費、通信費、教育費の他、可能性のある臨時的支出など
は給与がなくなっても払っていかなくてはなりません。

 

万が一、開業後1年間は仕事が無かったとしても、
なんとか1年間は食いつなげることができるのであれば、
それは一つの目安なのではないかと思います。

もちろん、この1年間の間に仕事を獲得する努力や種まきを怠ってはいけません。

 

また、わたしはやっていないのですが、
お金の問題をクリアする一つの方法として、創業融資があります。
借りやすい間に借りるのは一つの手です。
お金が無くなれば、事業もそこで終わりですが、お金があると時間稼ぎができます。

 

おおよその目途がついたときが独立のときでは

経験値もお金の問題も不安が全く無い完璧な状態にまでにしようと思うと、
かなり多くの時間がかかってしまいます。

それはその分、独立の時期が遅れることを意味します。

 

独立の時期が遅くなってしまうのは人生で大きな損失ではないでしょうか。

 

なので、わたし自身、万事安泰の状態ではありませんでしたが、勝負にでました。
(背水の陣)

独立により得られるメリットが大きいとかんじたからです。

 

なかなか大変ではありますが、
油断できないくらいの状況の方が、自分の中でかなりの必死感が出せた1年半だったと
振り返ります。
そして、それはそれでよかったと思っています。
(体調を崩したりのカッコ悪いところ満載ですが。。ただ、お客様にご迷惑はおかけしておりません。)

 

現在、独立開業を迷っておられる方々の参考になりましたら幸いです。

 

☆★☆ 編集後記 ☆★☆
この6月より税務ソフトを達人 → JDL組曲Majorに変えたので、
いろいろと戸惑いましたが、質問お問合せに頼ることなくなんとか大丈夫そうです。
しばらくこれを使っていこうかと。