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こんにちは。

ご訪問、ありがとうございます☆☆☆

 

所得税の配偶者控除の改正はもうだいぶ前からテレビなどでも言われてきているので、

ご存じの方も多いかと思いますが、

平成29年度改正により、来年(平成30年)以降の配偶者控除及び配偶者特別控除の制度が変わります。

(ちなみに、これを執筆しているのは平成29年6月です。)

今回はこの改正により、どのような人(家庭)がトクをして、どのような人がソンになるのかをまとめました。

 

配偶者控除と配偶者特別控除の違い

今年の確定申告において様々な納税者の方とお話しさせていただきましたが、

そもそも配偶者控除と配偶者特別控除の違いについて分かっておられない方

というのが結構いらっしゃったので、まずは簡単に説明させていただきます。

 

ざっくり言うと、

配偶者控除は合計所得金額が38万円以下の配偶者を扶養しておられる方が受けられる所得控除

で、

配偶者特別控除は、合計所得金額が38万円超76万円未満の配偶者を扶養しておられる方が受けられる所得控除、

ということになります。(改正適用前(現時点)の税制)

 

配偶者控除は38万円の所得控除を受けることができますが、

配偶者特別控除は、配偶者の所得に応じて、控除額が38万円~3万円間で推移します。

 

なお、所得金額、というのは、年収ではありませんので注意してください。

年収というのは、例えばパートさんでいうと、実際に会社から支給を受けた金額のことをいいますが、

所得、というのは、年収から、給与所得控除額を差し引いた額を言います。

例えば、パート年収が120万円の人の場合の所得は、

120万円から給与所得控除額65万円を差し引いた差額の55万円、ということになります。

この55万円を基準にして、夫が配偶者控除を受けることができるのか、それとも

配偶者特別控除になるのか、ということを判断します。

ちなみに奥さんの所得が55万円の場合は、配偶者特別控除が適用できるかたちとなります。

 

今回の改正で主にトクする人、ソンする人

☆主にトクする人 →
年収が1,120万円(所得が900万円)以下の納税者など
配偶者の収入がこれまで年103万円を超過していて満額38万円控除を適用出来なかった場合、配偶者の収入が年150万円までは、38万円控除を適用することができるようになる。

★主にソンする人 →
・年収が1,120万円(所得が900万円)超1,220万円(所得が1,000万円)未満の納税者など
満額38万円控除は適用できなくなった(控除額が減額)

・年収が1,220万円(所得が1,000万円)超の納税者
そもそも配偶者控除自体が適用できなくなった

 

読んでいただいておわかりのように、

所得が900万円超の高所得世帯は、首が絞まることになり、

それ以外の世帯については、奥さんがパートで働きやすくなるかんじです。

お金持ちに厳しい、というのは日本の税制あるあるですね。

 

もう少し詳しく~今回の改正で来年から変わること~

今回の改正をもう少し詳しくまとめてみます。

配偶者控除について →
・合計所得金額が1,000万円を超える居住者については、配偶者控除の適用がなくなった、
(H29年度までは適用あり)
・居住者の所得金額が900万円以下、900万円超950万円以下、950万円超1,000万円以下、
の3段階で控除額が異なるかたちとなる。

配偶者特別控除について →
・配偶者の合計所得金額を38万円超123万円以下に引き上げる
(H29年度までは、38万円超76万円以下)
※ なお、現行も合計所得金額が1,000万円を超える居住者については、配偶者特別控除の適用はなし。

・居住者の所得金額が900万円以下、900万円超950万円以下、950万円超1,000万円以下、
の3段階で控除額が異なっている

 

なお、実際の控除額について下図にまとめます。

居住者の合計所得金額

配偶者の合計所得金額

900万円以下 900万円超

950万円以下

950万円超

1,000万円以下

控除区分
38万円以下 38万円 26万円 13万円 配偶者控除
38万円超85万円以下 38万円 26万円 13万円

配偶者

特別控除

85万円超90万円以下 36万円 24万円 12万円
90万円超95万円以下 31万円 21万円 11万円
95万円超100万円以下 26万円 18万円 9万円
100万円超105万円以下 21万円 14万円 7万円
105万円超110万円以下 16万円 11万円 6万円
110万円超115万円以下 11万円 8万円 4万円
115万円超120万円以下 6万円 4万円 2万円
120万円超123万円以下 3万円 2万円 1万円

 


社会保険の扶養とのからみで微妙な部分も

今回の税制改正は、所得が900万円以下でパートで働く主婦のいるご家庭には有利だといえます。

ただ、パートで働く主婦がいるご家庭でもう一つ重要なのが社会保険の扶養、であることは忘れてはならないと思います。

社会保険の扶養は税制とはまた別ものと考えてください。

社会保険の扶養の範囲内とは、年収130万円の範囲内となります。
(ただし、2016年の10月から、年収が130万円以下であっても、従業員が501人以上の大企業に勤めておれる場合で、週20時間以上の労働、月給88,000円以上など一定の要件を満たせば、社会保険の加入要件を満たすかたちになってしまいます。)

 

この130万円の壁もなかなか厚いものではないでしょうか。

 

社会保険の扶養を外れると月々のパート収入から社会保険料が一定額引かれることになり、

手取り額がダイレクトに減るので、所得税の配偶者控除の適用云々以上に打撃感がありますね。

社会保険に加入することで将来貰える年金が増えたりのメリットもあるかもしれませんが、

そもそも将来貰える年金自体への不安がぬぐい去れませんし、

将来も大事ですが、やはり、今、子どものことやら何やらでお金が必要であるご家庭が多いと思いますので、

今使えるお金が多いにこしたことないと思います。

 

主婦のみなさんの力を期待したい

現在の日本では、世帯主の収入が1,120万円以下のご家庭がほとんどであると思います。

上述した社会保険関係のからみは無視はできませんが、

税制がこのようなご家庭に有利に働くことは良いことだと思います。

これまで税務上の103万円の壁を気にして働いてこられた主婦の方は

仕事の量を増やされるチャンスではないでしょうか。

わたしは主婦のみなさんは本当に働き者で、よく気も利くし、素晴らしいと思っております。

スーパーのレジ係や飲食店の店員さんなどをみても、学生アルバイトの若い人よりも

主婦層の年代の方のほうが、動きが機敏であったり、愛想よい接客をされるとかんじることが多いです。

普段、家事や育児を頑張り、家庭を切り盛りしていくことは、機転が効くことが必須ですし、

家庭で鍛えられたこのようなスキルが家庭の中だけで埋もれているのはもったいないと思います。

子育てが一段落された主婦の方々が、今後ますます活躍できる社会になっていくことを期待しております。